誰からも愛されない

✛✛忍


一方、忍は父親に
「なぜ、凪を彩心ちゃんに
つかせたのですか?」
「いや、別に考えはない。
お前は、忙しいだろうが。
わしが行くつもりでいたのだが
万里子が風邪を引いたから
仕方ないだろう。」
「お母さんは、大丈夫何ですか?」
「ああ、もう落ち着いている。」
「そうですか、明日戻ります。」
と、言うと
「忍、お前彩心ちゃんに本気なのか?」
「どうしてこんな気持ちになるのか
自分でもわからないのですが
もっと彼女を知りたいし
もっと彼女と一緒にいたいと
思っています。」
と、答えると
「そうか。
だが、一筋縄ではいかないぞ
あの子は。」
と、言うと
ニヤリと笑った。

忍は、そんなことわかってますよ。
と、心の中で父親に呟いた。


その夜、彩心にメールしたが
毎回社交辞令でも、
彩心からも返事がくるのに
今日は・・・
いつまで、たっても返事がなく
忍は、やきもきしていた。

翌朝
彩心から返事が来ていた。
『すみません、知り合いと
話してそのまま眠ってしまい
メールに気づいていませんでした。』
と。
忍は直ぐに
『今日は、こちらに戻りますか?』
と、訊ね、何時の飛行機か確認した。

朝、実家により母の顔を見て
仕事を済ませてから
「楓、俺は今から帰るから
後は頼む。」
と、言うと
「えっ、帰る?なぜ?
体調悪いのですか?」
「いや、体調は悪くない。」
「なら、どちらに。」
「空港だ。」
「空港?あっ。」
と、楓は気づいた。

彩心さんが実家の方に帰ると
聞いていた。

確か、凪叔父さんが同行しているはず。
ニヤリと笑うと
忍にジロリと睨まれた。
「はいはい、どうぞ。」
と、言いながら
楓は、心の中でびっくりしていた。

会社一筋の叔父だと思っていた。
確かに仕事も素晴らしく
お祖父様のときより
一回り会社も大きくなっている。

その叔父が、会社を早退?
まあ、あの人の事だから
仕事は、終わらせてるだろうが・・

忍叔父と凪叔父さん・・・
おもしろくなりそうだ。

あっ、久しぶりに恋人に
会う約束していたんだ
連絡しておこう。
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