秘書課恋愛白書
「いらっしゃいませー!お一人様ですか?えーっと…」
「一人なんでどこでも大丈夫です」
どうぞ、とカウンター席に通されたコートとジャケットを脱いで最早飲みを楽しむ気満々の私。
雑然とした店内はローカルな雰囲気が漂い、まるでこの地に住んでいるような気にさせられる。
バラエティー番組を流しっぱなしのテレビ。
狭い店内で周りに負けないくらいの音量で話すたくさんのお客。
私のように出張で来てるのか、大きな荷物を持ったサラリーマンや、地元民らしき人々。
奥を覗けば女性客もそこそこ多く、サラリーマンの集団もなかなかの数。
こういうところに来るのも旅行の醍醐味といえよう。
そんな雰囲気を横目で楽しみつつおしぼりで手を拭いていると、人の良さそうな大将がカウンター席に座る私へと興味津々で話し掛けてきた。
「お嬢ちゃん一人かい?珍しいね、こんなところに女一人で入ってくるなんて」
「出張で来てるんです。前に友人がここのお店のお酒が美味しかったって言ってたんで」
「そうかいそうかい。じゃあまずこれサービス」
そう言って出されたお通しと郷土料理。
ありがとうございます、と遠慮なく頂くことにした。