秘書課恋愛白書
とりあえずオススメのお酒を注文して運ばれて来たお猪口にゆっくりと注いでいく。
大将にいただきます、と一言添えてぐいっと一気に喉を潤した。
これ、これよ…
私の求めていた日常を忘れさせるような新鮮さ。
ガヤガヤと騒がしい店内にも関わらず、こうやって浸れるのはきっと日常を忘れたいからだ。
なんたって…この後ホテルに帰ったとしても社長と同じ部屋という事実はどう頑張っても変わらない事実なんだし。
帰ってそのままぐっと寝てしまうぐらいのお酒を飲んだって別にいいよね?
お猪口へと注ぐペースも速くなりつつあった。
のんびりとお酒を楽しんで過ごしていると、奥の方に座っていたサラリーマンの集団が店を出るようでこちら側へと歩いてきた。
きっと早い時間から飲んでいたのだろう。
足取りもフラフラで出来上がってる人もちらほら。
フラついてるけど大丈夫かな、とか横目でさりげなく心配して見つめていると背もたれにかけていたコートがずり落ちた。
拾い上げようと振り返ると、どうぞと後ろを通っていたサラリーマン集団の一人に手渡された。