秘書課恋愛白書

「そんな大袈裟ですよ。私は自分の仕事をきっちりしてきたまでです」

「謙遜すんなって。実績データが出てる時点でお前さんは頑張ってるよ」

「ありがとうございます」



中原 綾女。

褒められて伸びるタイプです。


「部長、次の辞令が出るのはいつごろですか?」

「今日のお昼過ぎに役員会があるからそこでだな。まぁ今日は出社とはいえ久しぶりの休みともいうか。辞令が発令されるまでのんびり過ごしてるといいさ」



前回の報告書提出だけは忘れるなよ、と付け加えて豪快に笑う。


「わかりました。では失礼します」


辞令が出されるまで落ち着かないけど…部長の言うように報告書でも作成してのんびり過ごしてるか。

部長との面談が終わったところで期待に胸をふくらませながら私は部長室を後にした。



***



午前中のうちに報告書類の提出を終え、仲良しの後輩数人と近況報告をしつつランチを済ませて戻ると部署の入口で人だかりができていた。



「何かあったんですかね?行ってみましょうか」

「そうだね」
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