秘書課恋愛白書
でもあの高そうなスーツの着こなしや物腰柔らかい感じから漂う気品みたいなのはなんとなく感じていた。
一緒に飲んだあの日だって、ワイングラスがよく似合っていた。
「そっか…灰田社長にも会ってたんだ。まぁそれ以外にあと2人いるんだけど、このまま秘書をしていればそのうち会うことになると思う」
「このまま秘書をしていれば…ですか」
いつまで私は社長の秘書で居られるかな。
「で、社長の好きだった人についてなんだけど…」
室長曰く、社長の好きだった人は室長たちと同い年で社長の一つ下のようだ。
なんでもその人も指折りの名家のお嬢様のようである企業の社長らしい。
というか、室長含め金持ちしかいない高校って本当に存在するだなとかセレブリティすぎて一般人の私には理解出来ない世界だった。
漫画で読むような感じなのかな、とか妄想が止まらない。
「あ…でも」
そう言って室長は私の顔をじっと見つめる。
「ちょっとだけ中原さんと雰囲気が似てるかも」
「え、そのお嬢様と私が似てるんですか?」
お嬢様のカケラもない私とその方を似てると言う室長は笑ってみせた。
「彼女に初めて会った時の印象とちょっと似てるかな」