秘書課恋愛白書

何か心境の変化があったんだ、とは思っていたがそれが私になんの関係があるというのだろうか。

もしかして、嫌いって言ったの相当気にしてたの?

うーん、と本気で考えていると、ぐっと腕を引かれて社長の胸に飛び込んでいた。


「キミが…っ綾女が、自分が思っている以上に多分、相当好きなんだと思う」

「……?!」


ぎゅううと首に巻きついた腕の力が強くなる。

その行動、その言葉に思考停止に陥る私。


な、な、んて?

今、社長なんて言った?

好きって、そういう意味の好き?


好き、と言われただけでぐんっと体の体温が上がっていくのが自分でもわかった。

それが社長にもすぐ伝わってしまいそうで必死に心臓を落ち着かせる。



「キミのためにやめたんだ。綾女が僕を嫌いなんて言うから」

「社長……あ、の、…え…」


ふわりと社長の柔らかいブロンドの髪の毛が頬を掠める。

視界の端に入った社長の耳が少し赤くなっているのが見えた。

それだけでドクドクと脈打つ心臓は最早隠しきれなかった。
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