秘書課恋愛白書
「私が一人で飲んでようが何してようが関係ないですよね?!それよりこっちはお祝いで飲んでるの。そんな辛気臭い顔して飲んでる人が隣じゃ祝いたくても素直に祝えないわよ」
お返しとばかりに一気にまくし立てるようにベラベラ話す私。
自分でもこんなにペラペラ言葉が出てくるもんだから内心ビビっている。
そんなお酒が入って饒舌に話す私に顔色ひとつ変えずに聞き入る彼が首を傾げた。
「お祝い?」
「そ、今日まで受け持っていた仕事がようやく終わって見事に昇進。来週からまた始まる数年間に向けて気合を入れてるところ」
「へぇー……」
それで浮かれてんだ、と言って私に手を差し出す。
何、この手は。
「なんですか」
「名刺。ちょうだい」
「え……ヤダ」
いきなり何を言いだすかと思えば、名刺をくれだと。
「いいじゃん。そんなに浮かれるくらい楽しい仕事なんでしょ。なんの仕事してるか気になる」
「えー…」
助けを求めるようにマスターに視線を送る。
すると、私の助けに気づいたのかグラスを拭きながらこちらに近づく。