秘書課恋愛白書
しかもここ、外商で使うような部屋なんじゃないの…
何度か前の雇い主こと女性社長に連れられてデパート巡りをした際にこういった部屋に通されたことはあるが自分がお客さんとして通されるのは初めてで緊張してしまう。
「宮野様が女性をお連れになるのは初めてです。よっぽど貴方のことがお好きなんですね」
「その考えは違うというか…」
「そうなんですか?てっきりお二人はお付き合いされてるのかと…」
仲睦まじい雰囲気でしたよ、と男の人が笑う。
残念ながら社長と秘書の関係です。
あんまり嬉しくない。
あははは、と乾いたような笑いを零して待っていると、女性の店員さんがやってきてどうやらスーツが出来上がったらしい。
「あれ?まだ?」
同時に社長がやってきた。
まだも何も…
「今までどこに行ってたんですか!こんなところに一人置き去りにして!」
「秘密。それよりスーツは?」
「宮野様がお戻りになったのと同時に出来上がりました。中原様着てみませんか?」
「綾女、着てきて」
えー…もう着替えるの疲れたんだけどなあ。