秘書課恋愛白書
社長に言われるがまま、渋々と重い腰を上げる。
女性の店員さんにまたフィッティングルームへと案内されて先ほど新調したネイビーのスーツに袖を通す。
「お似合いでございますね」
「…ありがとうございます」
女性の店員さんに褒められて鏡の前でくるっと回ってみた。
セミオーダーとはいえ、体にフィットして着心地も抜群。
生地も滑らかで肌触りもよく、上質で申し分ない。
ブラウスもあんまり使うことのないフリルのものを用意された。
まさかこの短期間で2着もスーツを新調することになるとは思わなかったけど。
「着れたー?」
「なっ…!!」
ガチャ、とノックもせずに我が物顔で入ってきた非常識に私は目を丸くする。
個室のフィッティングルームだからって…何を考えているのか。
終わってたから良いものの、着替えの途中だったらどうするの!?
「うん。良いね」
「……アリガトウゴザイマス」
頭のてっぺんからつま先まで舐め回すように見られて少し気恥ずかしい。
「綾女はその色の方が似合う」
サラッと私の髪の毛に触れてキスを落とす。