一匹狼くん、拾いました。
母さんは、俺を生んで間もなく父親と離婚した。
俺は、本当の父親の顔を知らない。
覚えてない。
実の父親の記憶なんて、全くない。
「仁、今日からこの人が新しいお父さんよ」
俺が中学一年生の時、母さんは、茶色い髪をした男の人を家に連れてきて、そう言って優しく笑った。
男の人のそばには、小学生の子がいた。
「宜しくね、仁くん」
男の人は俺を見て、嬉しそうに笑った。
「……よろしくお願いします」
俺は、小さな声で頷いた。
小学生のその子は、素直で可愛らしくて、接しやすかった。
一人っ子の俺は、そんな妹ができてすごく喜んだ。
ずっと家族が増えたら良いと思ってたから。