嘘つきピエロは息をしていない
「なにが? つか、園児って言われたのにシカトすんなよ。らしくねぇな」
いつものカウンターパンチどうした。
「他に、もし、なにかあるなら。話すことでナイキくんがラクになれるなら。なんでも言ってね?」
――心臓に、時限爆弾を植え付けられた気がした。
「私、あんまり頭もよくはないし、経験だって……あまり豊富じゃないけど」
「おいおい頼りねぇな。中学生でもお前よりは世の中のこと知ってんじゃねーの」
「……そうだね」
そうだねって、なんだよ。
認めてどうする。
言えよ。
余計なお世話だとか失礼だって言って怒れよ。
「他に理由なんてねぇよ。女よけだ。地味だったら恋もされねーだろ。俺は美しいからな」
「…………」
黙るなって。
お願いだから。
「こんな暴露話、普通廊下でしねぇからな?……まぁ今は誰にも聞かれてねぇからいいか」
「……ナイキくんは一人じゃないから」
「は?」
「私も。部長も。いっちゃんも、竹千代くんも白木くんだっているし。他の人だって満場一致でナイキくんのこと欲しがったんだから!」
そんな話、してねぇだろうが。
「意味わかんね」
「わかるよ! 私たちは、仲間ってことだよ!」
「俺は、臨時要員だ」
「違う」
「なにが違うんだよ」
「違うよ……!」
「はは。ムキになりすぎ。つーか声でけぇし。熱くなんなよ」
爆弾についているタイマーが、ゆっくりと、だけど着実にカウントを始めている。
「ナイキくんは交換条件とかじゃなくて演劇部のことを大切に思ってくれてるでしょ?」
「……は?」
「それはもう仲間なんだよ」