嘘つきピエロは息をしていない

 真実が見えないまま沈黙が流れる。

 空は薄暗い。

 なんだかひと降りきそうだと考えた、そのとき。

「おや。今日は裏庭集合だったか?」

 やってきたのは、保だった。

 人一倍いい加減そうに見えて狡猾なヤツ。

 きっと味方であるうちは心強い。

 相川の隣に腰掛けると、ポケットからタバコを取り出して咥える。

 が、そのタバコをひょいとつまみあげ

「校内禁煙です」

 相川が没収した。

「なんだ。火ぃつけてくれるかと思ったら取り上げられちまった」
「私は高いですよ」
「はは。そりゃそーだ」

 どうやら保も相川には頭があがらないらしく、はは、と笑うと没収されたタバコを奪い返しポケットへとしまう。

「さーて。俺も混ぜてくれよ」
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