嘘つきピエロは息をしていない


「きりのお弁当、いつも栄養満点そうだよね」

 九月下旬の学祭後に三年生が二人引退したら、実質演劇部はなくなったも同然だ。

 あと五人……いや、贅沢は言えない。

 最低二人は確保せねば。

 ナイキくんにどんな形でサポートしてもらおう。

 限られた時間にできることを頼むことになるが、そのあたりは部長に任せきりでいいのだろうか。

「きりー?」
「あっ、ごめん……!」
「まーた、考え事?」

 真琴がウインナーにかぶりついた。

 タコさん可愛い。

「当てていい? 部活のことでしょ」
「う、うん」
「いつも考えてるよね。っていうか、さっきの沢村の怒った顔、傑作だったなぁ」
「その話はもう掘り返さないでもらえると嬉しい」
「オッケー。でも女バスの子たちには話しちゃおうかな。もちろん、きりの名前の名前はふせて、匿名で。絶対ウケるよ」
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