嘘つきピエロは息をしていない

 それでも、一昔前に比べたらすごくよくなってきたと思う。

 きりなりに努力しているのだろう。

 その結果、俺と同じ進学校に合格できた。

 きりは頑張ったんだ。

 心ない言葉を浴びせられイジメられている現場に居合わせ、きりを救い出したこともある。

 きりの苦悩を理解してくれる友達は、きりの同級生にはいなかったんじゃないかと思う。

 だけどそれが原因で泣いているところは一度も見たことがない。

 俺はきりの笑顔を守ってきたと思う。

 もうずっと、何年も。

 それが俺の使命だとさえ感じている。

 これからも、きりのことを守ってやりたい。
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