嘘つきピエロは息をしていない
カランカラン、と。
どこからともなくベルの音が聞こえてきたような気がした。
嘘だろ?
コイツこんな可愛かった?
……天使?
いやアホか。
吉川だぞ。
吉川きりだぞ!?
「よかったー」
「はあ?」
「うずうずしてたんだよ?」
「おまっ……」
「竹千代くんと白木氏のことを報告したくて!」
――ソウダヨナ
ああ、知ってたとも。
コイツの頭の中には限りなく100%に近いレベルで芝居しかないってことは。
だけど紛らわしい言い方してんじゃねえよ。
ドキッとしたわ。
「前髪五才児か」
「えぇ!?」
「失敗して泣いたパターンか」
「ちがっ……こういうの流行ってるんだよ? オンマユ。かわいいもん!」
「女子のいう“可愛い”は俺にはよくわかんねぇわ」
ムスッと頬を膨らます様はやはり園児だ。
「勧誘上手くいったんだな」
「あれ、なんで知ってるの?……あ! 部長から聞いた?」
拗ねたガキみたいだったクセに、部活の話に戻った途端パッと明るい表情に戻った。
忙しいやつ。
「顔見たらわかるわ。聞くまでもねぇ」