**零れる涙**
「やっぱり、まだ治ってないんだね。

酔わなきゃいい人なのに……

カンナちゃん、辛い話してもいいかな?」


聞きたくない、だけど一度開いたパンドラは閉じてはくれない。


私は、静かに頷いた。





「和夫さんと、清子の間にカンナちゃんが生まれた。

幸せなのは、あっと言う間だった。

崩れるのも、あっと言う間だった。

  和夫さんは酔うと、カンナちゃんにまで手を出した……」




えっ………?


私?


暴力ってこと??


「それはーーーっ」













「和夫さんは、カンナちゃんに………


   性的虐待を加えてた」













えっ……………?












実の父親が?

私を?


開いたパンドラは、切ないモノだった。




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