だったら俺にすれば?~オレ様御曹司と契約結婚~
玲奈の家は、ビルメンテナンスを中心に事業を行っている、いわゆる中小企業だ。事業はそれなりにうまくいっており、ふたりの娘は何不自由なく育ったが、下町生まれの下町育ちで、日本屈指の名家である南条家に比べれば、いたって庶民の感覚しか持ち合わせていない。
「親が、見合いをしろと、うるさいのか」
確かめるように問う瑞樹に、
「ええ、そうなんです。だからとりあえずでも、彼氏がいるんですっ……!」
玲奈は半分投げやりになりながら、勢いよくうなずいた。
「ふぅん……」
それを聞いて、瑞樹は思案顔になったが、よくよく考えれば、こんなプライベートなこと、女ったらし御曹司にはまるで関係のない話ではないか。
(私ったら、なにペラペラつまらない話をしてるんだろう!)
「今の忘れてください!」
玲奈はプルプルと首を振って、両手で顔を覆った。
だが、頭上から「いやいや……」と、どこか楽しんでいるような、好奇心が混じった声がして。
「だったら俺にすれば?」
と、続けて、軽やかな声で、提案された。
「はい?」
すれば、とはなんなのか。いったいなにを彼にしろと言っているのだろうか。意味がわからない。
玲奈は自らの顔を覆っていた手を外して顔を上げる。