だったら俺にすれば?~オレ様御曹司と契約結婚~
(えっ、ええっ、ええーっ! 私、うっとりしてなかった!? いや、してた!)
玲奈の頭は真っ白になり、それから顔が真っ赤になった。
この状況でこみ上げてくるのは、まず羞恥だ。そして自分への不信感が、後から追いかけてきて、眩暈がした。
いくら男に慣れていないからとはいえ、こんな風にいいようにされてしまった自分に腹が立つ。
しかもこれは、玲奈のファーストキスなのだ。今さら十代の女の子のような夢を見ていたわけではないが、こんな形で奪われることは予想していなかった。
(私の……ファーストキスが……!)
このまま床に座り込んで、大声で泣き叫びたいくらいだった。
一方、キス泥棒の瑞樹は、こういう状況に慣れているのだろう。顔色ひとつ変えないまま、スマホを操りながら目線ひとつよこさない。
「近くに部屋をとった。ついてこい。続きをしてやる」
その言葉は、やはりかなりの上から目線で――。
(ついてこいって……してやるって……)
どう受け止めても、最低で、最悪だった。
玲奈は全身を震わせながら叫ぶ。
「いっ……行くわけないでしょっ! 馬鹿っ!」
玲奈は目の前に立ちはだかる瑞樹の胸を力いっぱい突き飛ばすと、そのまま階段に向かって走り出していた。
(最低っ、最低っ……! 俺様御曹司って最低! そして流された、私の馬鹿ーっ!)
書籍版【試し読み】完結


