王子は冒険者になる!

ちり、っと耳元で
魔力が焼け付く音がする。
ダイナラスさんが作った魔法陣が発動して
淡い光が包む。

ぶわっと、熱気とともに
陣が台車に食い込むように発動。
ずーーんと 魔力が持って行かれる感じ。
ヤバい、これ以上魔力を引き出されると
姿を変える術が解ける。
慎重に魔力調整をする。

やべぇ、この調整 俺 苦手なんだよなっ。
同時発動っての?
もーちょい真面目に練習すりゃよかった。


「うおっ。」
引きずられるように光の魔力を持って行かれる。
てか・・・
この耳飾りで抑えられるか?
焦る。
姿変化と、魔力変換と・・・がんばれ、俺っ。

一瞬、強く光が増して
術が完成してキラキラと 光が降る。


はー、よかった。
これくらいの魔力で済んで・・・
ちょっと髪の毛を引っ張ってみると
おぉ、髪色も戻ってない。

ダイナラスさんの『増幅魔法』すげぇな。


「完成だ・・・。
 というか、チェース・・・」
「はぁ、よかった。」

変な汗かいちゃったよ。
思わず噴き出る汗をぬぐって
どすん、とその場に座る。
あー、芝生が気持ちいい。
さすが領主の庭。

光の魔力が引っ張られるから、
押さえつけるのに
まじ、疲れた。


「あぁ・・・こんなすごい
 魔法力なんてなかなかいないぞ・・・ほれ、見てみろ。
 屋敷の奥のほうまで「光の結界」がかかってるだろう。
 おまえ、何者だ?」

「え?」

マジか!?
そんなに魔力取られてた?

「まぁ、それだけ「光の結界」で魔力使って
 枯渇しないだけのスゲー優秀な魔力保持者、
 さすがに、起き上がれないようだが・・・枯渇はしてないようだな。」

てか、ダイナラスさん怖いって。
怖い顔がますます怖いって。

すいません、
魔力を持って行かれないように自分自身の魔力を
抑え込むのにコントロールが大変だっただけで・・・
魔力にはまだ余裕がある。
と言ったら逆効果だな。
どうやって誤魔化そう。

とりあえず、魔力不足のふりして
座り込んでおこう。

「な、何者って、その、
 冒険者、チェース・・・なんですが・・・だめ?」
恐る恐る、
見上げる。

「・・・・・・・こんなに
 光の魔術を使って・・・侯爵家の跡取り・・
 って訳じゃないだろう。こんな優秀な魔力もちを勘当するバカはいねぇし。
 公爵家は、王都にいるモンレ家はお嬢さんだし、
 西も北もチェースぐらいの子はいないし・・・東は」

やべ、ダイナラスさんがぶつぶつ言いながら
考え始めた。

「あの、ダイナラス・・」
「まぁ、まぁっ!!
 あなたたちの魔法!!!
 素敵だったわ。光の結界なんてはじめてよ!」


後ろの屋敷のほうから
警備を連れた「お嬢様」が歩いてくる。

ダイナラスさんは、きれいにお辞儀をする。
さすが、騎士ですね。

俺もあわてて立ち上がって
礼をする。


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