王子は冒険者になる!
「で?これは
どちらへ配達ですか?お坊ちゃん?」
おねーさんは、黄色い花を箱に詰めて贈答用にしてにこりと笑う。
「えぇと、いつでもいいんだけど
モンレ公爵家へお願いします。」
というと、おねーさんはガタン、と 箱を落としそうになる。
「こ、公爵家!??」
「うん。」
ダメだったかな?
「あぁ、そうか、身分違いの・・恋・・・。
貴方は男爵か、子爵か・・・なのね。
公爵家のお嬢様とは・・・結ばれないのよね?」
「・・・ん?」
別に、男爵家ではないけど
たぶん、おねーさんはいい感じに勘違いしているみたいなので
ほおっておこう。
「そうよね。公爵家のお嬢様ともなれば
王家に嫁いだり、他国に嫁いだりするものね。
公爵家のお嬢様だったら魔力も桁違いだし・・・
坊ちゃんっ、ちゃんとおねーさんが届けるからねっ。
ちゃんとどーにかしてあなたからって解るようにする?」
だから、ダメだって!!
「おねーさんっ。気持ちは嬉しいけど
僕からってわかると、あの、家とか、あちらの家にも迷惑がかかるんだ。
おねーさんだって、大変なことになるかも
だから、ぜぇーーーったい、ダメだよ?」
「で、でもっ気持ちを伝えないと。
いくら身分が違うといっても、」
あ、なんか 思いっきり勘違いしてるんだろうな。
思わず苦笑。
「あー、えーーっと。
あぁ、そうそう。その黄色い花を送ったら大丈夫だから!」
「!!!お、思い出の花なのね!」
「あーソウデスヨ。」
わかったわ!といっておねーさんは、
綺麗にラッピングして、
俺はようやく花屋を後にした
・・・って やべぇ、時間ギリギリ。
頭に巻いている緑の紐がきゅぅっとする。
あわてて 神殿へと向かう。
タイラーに渡された、ローブをすっぽりかぶって(どうやら認識疎外のローブなんだって)
出たときと同じように
裏口から・・・えぇと、窓から下がっている
緑のロープを二回引くと、
上の窓からタイラーが顔を出した。
はぁ、間に合った。
一安心。