王子は冒険者になる!


はい、はい、やってきましたお茶会。
お母様いわく「微笑みの王子と金色の輝きのお茶会」らしい。
なんじゃそりゃ。
テーマはなんなんだ、わかんねぇ。

「フラン。似合ってるわ。
 やっぱり、刺繍を白にして正解ね。」
「ありがとうございます。お母様。」
壇上から声をかけられて
礼を取る。

俺は、玉座の横の列に立つ。
アレクお兄様の隣だ。

「・・久しいな。フラン。」
「アレク兄様。お帰りなさい。
 学園はいかがですか?」
「まぁ、楽しいぞ。お前が来るのが楽しみだ。」

アレク兄様の側近の青頭がどうしても 戻らないといけない用があったらしく
ついでに、アレクも帰ってきなさい、と 王の一声。
しぶしぶこの「お茶会」に参加らしい。

「・・・もちろん、僕は
 テラスの奥に隠れてるからしっかりとご令嬢のお相手をするんだよ?」
「ちょ、アレク兄様っ・・・」

「だって、もうすぐ学園に入園だというのに
 しっかりとした婚約者も決定していない
 学園にともに行く側近も決めてない、誰のせいだ?」
「っ・・・い、いざとなれば ジゼを・・・」
「お前がいいなら、それでいいがな。
 ジゼはもうお前の側近を務めながら、文官の仕事もしているんだろう?」

ぐっと、言葉に詰まる。
そうなんだよな。連れて行ってもいいけどさぁ。
俺の仕事、自体がそんなにないから 基本ジゼは 王宮の仕事もしながら
俺のサポートもしてる、って感じだ。
騎士の二人は論外だよなぁ。連れて行くの。
いや、連れてくけど 送り迎えの警備として。

「ほら、だから 早く決めろって。」
にやり、とアレク兄様がわらう。
ちぇ、他人事だから楽しそうにして・・・

始まりの音楽が楽団からもたらされる。
ほら、という風に アレク兄様が
俺を押し出して 会場に連れ出す。

すぐに、わぁ、と人が集まる。

くっそ。だからお茶会なんて面倒だったんだ。

相変わらずの ご子息たちに囲まれて、
花のようなご令嬢たちに声をかけられて。

俺、王子様スマイル連発しすぎて
顔の筋肉が固まるよ。

って、アレク兄様、逃げるの早っ!!

ちらり、入口のほうを見ると、
騎士のビラットと騎士タイラーが ほかの騎士たちと一緒に
控えている。

今日は、俺の・・・というか、
この会全体の 警備 らしい。



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