王子は冒険者になる!

「フランチェスコ王子。今日のお召し物も素敵ですわ。」
「ありがとう。ライラ嬢も
 あなたの瞳によく似合うドレスだ。花の妖精のようだな。」
うん。黄色で、ミツバチみたいだ。

「ご、ごきげんよう。フランチェスコ王子。」
「うん。ごきげんよう。グレタ嬢。
 ほら、かわいい笑顔を見せて。」
真っ赤な顔が、リンゴっちゅーか トマトだな。 

もちろん、俺 王子なんで あっまーーい言葉をささやきますよ。
必殺王子様スマイルも出しますよ。


経験上、その方が「ご令嬢」がたは、
顔を赤らめたりして
その隙に、逃げられるからな!

おしゃべりに付き合うよりは、全然、俺、『ちゃら男』になります。

その隙に、ご子息たちに声をかける。
「マーカーも来てたのか。」
「・・・えぇ。剣術の練習を終わらせてから来ました。」

「フランチェスコ王子、この間はどうも。
 前に言っていた「クリスタルソード」ですが・・・」
「おぉ、イーサン。あの、透明の剣のことか?」

何人かの会話の後、
ふと 目にとまる令嬢がいた。

うすーーいブルーの髪を軽くサイドでまとめ上げて
落ち着いたグレーのワンピース。
なぜだかわからないけど・・・目が奪われる。

お茶会の お菓子をしっかりと
食べている姿がまた 面白い。

だって、ここに来るご令嬢は
そんなに、食べれませんのぉ。とか いうのが流行りみたいでさぁ。

せっかくのスイーツを食べないんだよ。
ま、残ったのは
孤児院や施設に 下げ渡し するように手配してるけどさ。

せっかくの王宮のシェフの気合のスイーツだぜ。
ちなみに 今日の一押しは そのレモンのパイ。

でも、彼女が取り分けてもらったのはベリーのタルトだった。
それもいいけどさ。

思わず、彼女の前にと歩み寄る。
ふと気が付いたように彼女は立ち上がり、
頭を下げて腰を落とす。


「やぁ。楽しんでいるようだね?君は・・・」
「ごきげんよう。フランチェスコ様。レストン男爵家の長女、
 ソフィアでございます。」

あれ?ソフィアって・・・レストン家って・・・。
あの、ソフィアか。「私はスノーブルーの髪だから魔力も多いのよ!」
とか言ってその辺のご令嬢に 吠えまくっていた。

こんなやわらかい表情が出来たっけ?

「ん。あぁ。なんだか印象が変わったね?」
「まぁ。うふふ。」

にこっと微笑まれた。
綺麗に笑う子だな。と思う。どこか、大人びている。
なんだかよくわからないが、親近感を覚える。
何だろう。

君は・・・と声をかける瞬間、
「フランチェスコ王子。私の従弟を紹介いたしますわ。」
「っ。うん?あ、あぁ。」

不意に、声をかけられると
彼女、ソフィアの従者だろう「失礼します。」
と 彼女を奥の窓のほうへと 誘導する。
思わず 目で追う。

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