あなたと私と嘘と愛

ズシッと全身に嫌な重りが張り付いた気分になる。
胸の中心部分がヒリヒリと擦れる感じがした。


(……どうして?)

知らぬ間に気に触るようなことをしてしまったのだろうか?
それとも私のことが飽きちゃった?
興味が薄れてしまったのだろうか?

戸惑いと不安が込み上げ気持ちが一気に沈む。
こういう時の対処法か分からない。

だから「大丈夫」だと微妙な顔して笑う彼の後をとぼとぼと着いていく。

ぐるり180度水槽の中を通るエスカレーターを上ればそこは別世界。綺麗すぎて本当だったら感動で言葉が出ないと言いたいところだけど、今日に限ってはこの気まずさの中押し潰されそうで言葉が出ない。

魚より坂井さんの顔色ばっかり見てしまう。
あからさまに変だと思うのに何も言えない自分がもどかしくて泣きそうになる。


「…あの……」

「ごめん、ちょっとトイレに行ってくるね」


また言葉を被せられ、背を向けられた。
これはけっこう、いや大分きつい。
なんでこうなったかも分からないまま休憩スペースのベンチを見つけ、そこに弱々しく腰掛ける。

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