あなたと私と嘘と愛

やっぱりいい、この感触…


(いいな、これ欲しいなぁ)


「それ、あげないよ」

「え?」

「なんか欲しそうな顔してるから」


優斗がふっと笑った。
まさか心を読まれてる?
そんなに分かりやすかった?と思いながらもこの感触はやっぱり病み付きになる。


「あ、じゃあ売ってくださいよ。私買いますよ?」

「そうくるか。でもやだよ。俺も気にってるんだから。それに君、10万なんて払えるの?」

「それならご心配なく。一応貯金はそれなりにあるのでそれぐらいの額なら払えます」

「…それぐらい、ね。さすがお嬢様発言。でも駄目。それは売らないよ」

「…ケチ……」

「それよりも…」


急に真顔になった優斗がこっちへ歩み寄ってくる。
そして言葉を閉ざし、私の前までくると突然同じ目線までしゃがみ込み、至近距離になる。

わっと彼の顔が視界に広がった。
送られる真剣な眼差し。
そして鼻を掠めるシャンプーの爽やかな香り。
その全てを察知した瞬間不覚にもドキッと鼓動が飛び跳ねる。

< 130 / 471 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop