あなたと私と嘘と愛
「…もう無理ですって」
お互い一歩も引かない感じで自分の気持ちをぶつけたけど、次第に緊迫した空気だけが大きくなる。
もし、坂井さんが強引な行動をしようとしたらうーちゃんが助けてくれることになっている。
後ろにいるうーちゃんは私達の会話を聞いてどう思ってるんだろう。
「…まぁ…いい」
だけど沈黙が続く中坂井さんの手がパッと離れた。
そして距離が遠くなる。
あらためたような態度に変わり、ゆっくりコーヒーに手を伸ばした。
「わかった一旦冷静になろう。取り乱して悪かった。とりあえずお互いもう少し考える時間をもうけたほうがいいね」
「…は?」
「亜香里も今は意地になってるだけだよね?俺を試そうとしてるんじゃない?本心は別れたくないと思ってる。そうだよね?」
「…え?は?」
「亜香里の気持ちはちゃんと分かってる。僕の愛を試したいんだよね。その気持ちに応えるために俺も頑張るから、今以上に君への愛を伝えるよ」
ひんやりと背中に冷たいものがはしる。
やっぱりこの人の頭の中が理解できない。
今までの話の流れでどうしてそうなるのか、
「け、けっこうです!」
この時感情的に吐いてしまったけど、彼は自己解釈をして「大丈夫だよ」と私の頭を撫で優雅に笑った。
その笑顔が怖かった。