あなたと私と嘘と愛
「そ…ですか。なんかすみません」
1人で頑張ろう。母達には迷惑をかけない。
変な意地を張っていた自分がバカみたいに思う。
全部私の独りよがりだったみたい。結局皆に迷惑をかけてしまった。
「家族に迷惑かけたくない気持ちは分かるけど、1人でやれる事なんて所詮限られてる。今回のことでもし君が命を落としたりしてたらそれこそ取り返しがつかないだろ?」
返事が出来ず無言になる。
「自立心が強いのは立派なことだけど、意地を張りすぎも良くないんじゃない?この先何かあったとき、誰かに頼りたくても頼れなくなるよ」
「確かに、優斗さんいいこと言う!」
ドキッとした。
まさにその通りだった。
彼は時々ずしりと胸の中に落ちることを言う。
的を得ているというか確信をついてくる。
(どうしてだろう、不思議な人…)
けど私は母に素直に甘えた記憶がない。
甘えられずに育ってきた。
「家族だからこそ相談した方がいいこともあるんじゃない?」
それを聞いてもピンとこなかった。
だって母の一番は私じゃない。
なにより大切にしてるのは仕事で、女優として、女としての人生だから。
「悠里さんも心配してる」
「……」
けど、あなたはいつもいないじゃない。
思わず口からこぼれ落ちそうになり、誤魔化すように話題を変えた。