あなたと私と嘘と愛
「こればっかりは何事も経験だからね。今回いい勉強になったと思えばいいんじゃない?」
「さすがに今はそんな風に思えませんけど」
「まぁ、時間と次の恋愛が解決してくれるよ」
…次の恋愛か…
「当分は無理だなぁ。今回のことがトラウマになりそうで暫くは…」
「だったら落ち着くまでフリーを楽しんだら?恋愛は無理してするもんじゃないし、その間充電期間ってことで」
充電ね。
確かにそれは必要だ。
「恋愛は焦ってどうにかするもんじゃないからね」
「…え?」
「いつか君にも必ずピタッと合う人に巡り会う時が来るんじゃない?この人だって魂が魂を求めるような心から引かれ合う人に」
魂を求めるような人…?
「そ、それは随分と大袈裟な例えですね」
「そう?」
「もしかしてあなたはそういう経験したことあるんですか?魂が引き寄せられるような」
それがうちの母親だったりして…
期待を込めてじっと見つめてみると、彼の表情はイエスでもないノーでもない曖昧なものをした。
だから何となくモヤッとする。
「それはどうかな」
けど結局はぐらかされたままその話は流れてしまったけど…