あなたと私と嘘と愛

どよ~んと再び重い空気が流れそうになった時、パチンと横から手を叩く音がした。

「んじゃ、こういう時はパーッといく?」

急に立ち上がった優斗が冷蔵庫からシャンパンを持ってきた。

「何がいい?ワインもカクテルも色々あるよ?」

「へ?」

「たまには何も考えずに飲んで現実逃避をするのもいいかと思って」

にかっとイタズラな顔にキョトンとする。

両手には本当にお酒を持っていて、それでぱーと嫌なことを忘れろと言わんばかりの表情で訴えかけてくる。

予想外な言動に目をパチクリさせたけど、色んなお酒が並べられていくのを見ていたら次第に私もそんな雰囲気に。


「そ…だね、なんか飲みたくなってきた、かも」

「だろ、ここにある酒でも自由に開ければ少しはスカッとするかもよ」

「じゃあ…」


(こうなったらパーッといっちゃう?)

グラスを受け取りながら不思議、本当に飲みたくなってきた。
けど優斗の怪我は大丈夫?
痛み止めとか抗生剤をさっき病院で処方されてたのに、飲んでも平気だろうか?

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