あなたと私と嘘と愛
この時の私は本当にそうしか思えなかった。
だけど優斗の瞳はそれを否定するように視線を向ける。
「…亜香里、君は色々と誤解してる。悠里さんは自由気ままな人だけどけっして君をないがしろにしてるわけじゃないよ」
ため息まで吐いて何故か私の肩を掴む。
「前から思ってたけど、もっと違う角度から彼女を見てみたら?」
急に触れられたことに驚いたけど、真っ直ぐ見つめられて何だか複雑な気持ちが顔を出す。
(違う角度ってなに?)
母に気を使ってるのがすぐに分かった瞬間何故か嫌な苛立ちが込み上げた。
「どうして君はいつも…、いや、たまにはさ、悠里さんに自分から歩み寄る努力もしたほうがいいと思うけど?」
もっと大人になれよと言わんばかりの瞳だった。
まるで頑固だなって。
(なによ…)
私が悪いっていうの?
そう言われてるようで、尚更気分が逆撫でられた私は当然のように突っぱねた言い方に。
「さ、さっきから聞いてれば大きなお世話だよ。私達親子の事なんて何も知らないくせに偉そうな言葉並べないで。
つい最近入り込んできた人に説教なんてされたくない」