あなたと私と嘘と愛
思わず部屋を覗き込むと母がだらんと横たわる姿が見えた。
それは気持ちよさそうに眠ってる。
「こんなに早く珍しい…」
「それだけ疲れてるんじゃない?彼女も忙しい人だしね」
まぁ、常に嵐みたいな人だとは分かってる。
「それに亜香里の件も一段落したし、ホッとしてるんだと思うよ」
「……私?」
「ああ見えてすごく心配してたからね。あまり面には出さないけど、あの男の行方が分からなくなった時は一時本当にボディーガードを君に何人か雇おうとしてたしね」
「は?ボディーガードって…」
「それぐらい初めてみるぐらい必死だったんだよ」
「まさか……」
信じられず半信半疑の顔を向けた。
優斗の顔を見たけど、まったく冗談を言ってる素振りはない。
むしろ真剣だ。
「か、仮にもしそうだとしてもきっとあの人の気紛れなんじゃない?」
そうよ、きっと気紛れよ。
普段私に全然興味がない人がそんなことするなんて、気紛れ以外何だっていうのだろう。