あなたと私と嘘と愛

(だから平常心、平常心…)

気を取り直すよう深呼吸した私はそれから浴衣と下着を持って部屋を出た。
もちろん優斗も一緒にロビーを歩く。

まずはお土産の下見をし、その後大浴場へと向かう予定だ。

お土産コーナーは思ったより広く、沢山の商品が置いてあったため、どれにしようか迷ったが、大体の目星を付けておいた。

その中で一つだけ目にとまったぬいぐるみがあった。

うさぎなのか猫なのか、クマなのかよく分からないぶさ可愛いものだったが、何故か興味を引かれた。

これぞ温泉マジックだろうか?
普段だったら絶対買わないものが欲しくなる心理。

思わず手に取りじっと見つめて微笑む。

(これも何かの縁、記念かな?)

なんて思いながらまた明日他のお菓子と一緒に買おうと心に決めた。

そんな様子をまさか優斗が少し離れた所から見て笑ってたとは思いもしなかったけど…

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