あなたと私と嘘と愛

それを思うと苦しくてやるせない。だから自分でも止められない本心が出た。

「だったら…ちょうだいよ」

「え?」

「お母さんが優斗を大事にしないなら私が大事にする。私に優斗をちょうだいよっ」

自分で何を言ってるのか…
この発言が不謹慎だってこと。馬鹿げてるのに止められなくて、もう遅い。
それを物語るように母の瞳が見開き私へと集中するが、ぎゅっと拳を握りしめる。

「もうお母さんの好きにはさせない。優斗は私が守る。だからこれ以上彼を否定しないで、傷付けないで!」

もう振り回されるのはまっぴらだ。
私も優斗もこの先も…

「そんなにその医者がいいならさっさとその人のとこにいけばいい。その代わり二度と優斗には近付かないで!!」

優斗への申し訳なさが込み上げる。
こんな母でごめんなさい。
こんな家族に付き合わせてごめんなさい。

あんなに信用できる人はいない、のに。
あんなに私達家族のことを思ってくれる人はいないのに、…ただ悲しい。
そんな緊迫した空気の中、目の前の母がハッとしたような表情に変わる。

「あなた…」

取り乱す私を見つめながら僅かながらに呟いた。そしてそれは一瞬、私の思いを全て見透かし真顔になるのは早かった。

「そういうこと…」

そして静かに瞳を閉じる。何もかも悟ったであろう彼女は再び姿勢を正した時、すぐに冷静さを取り戻していく。
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