あなたと私と嘘と愛
「だから亜香里は何も心配せず俺の側にいてくれたらいいよ」
「…っ……」
優しく微笑まれて目が釘付けになる。
顔を上げ、再び目が合った途端これだ。気持ちが優斗へと簡単に持っていかれる。悔しいほど…
「不安な事があるならこれからはちゃんと今みたいに話してほしい。全部受け止めるから。二人でちゃんと話し合おう」
…優斗……
「…それ、本当ですか?もし今後亜香里を傷付けて泣かすようなことがあれば黙ってませんよ。私があなたを許さない」
真由のいつになく真剣な声。優斗に向けて放たれる。
「分かってる。ここで約束するよ。君に誓って亜香里を泣かせないと約束する。この先亜香里のいない人生は考えられないからね」
「…優斗…」
いつの間にか話の本題が逸れている気がしたけれど、それを気にする余裕なんてない。だって胸が高まる。
愛しそうに真っ直ぐ見つめられたらもう、降参の4文字しか浮かばない。
「…わ、たし…」
「ほら、そんな顔しない。そうゆう顔は二人きりの時にしてほしいね」
優斗が私の顔を覗き込み、色気たっぷりの表情を向ける。
それは最近ベッドの中で見せる大人の甘い夜の顔。
「真由ちゃんも、俺の我が儘に付き合わせて悪かったね。これからも亜香里のことをよろしく頼むよ。何かあったらいつでも助けてやって」
「…あ、はい…」
横目で映る真由もつられるように顔が赤くなるのが分かってしまった。
それぐらい今の優斗の笑顔には破壊力がある。
「じゃあ俺はまだ仕事があるから部屋に戻るよ。あとはごゆっくり」
そう言って部屋に戻った優斗の背中を見送りながら真由が脱力したように小さくポツリ。