あなたと私と嘘と愛
「…やばいね…」
「え?」
「あれはやばい…」
珍しい。真由がこんな風に言うなんて。
…けどうん、と素直に頷く私も同じ気持ち。
「反則だわ。亜香里じゃなくてもうっかり惚れそうになる。あんたの気持ちが良く分かった気がする」
「そ…なの。分かってくれた?」
惚けたように動けない。
とっくに優斗の姿はいないのに、優斗の部屋の扉を見つめながら私も方針状態でポツリ。
「やっぱりずるい…」
「けどかっこいいんでしょ?」
呟いた真由にやっぱり頷いてしまった私はきっと真っ赤な顔をしてるに違いない。
けど、次に言われた真由の言葉にまたしても胸が熱くさせられる。
「おめでとう」
「え?」
「いい男捕まえたじゃない。あの人なら安心だよ。亜香里にしては上出来。本当よかった」
「……」
再び涙目になった私を見かねて真由の温かな抱擁を受けた。
「私は二人を応援するからね。絶対うまくいく」
「…うー…」
「けど正直羨ましい~。私も恋がしたい。ズルくてもいいから素敵な彼氏が欲しいよー」
なんて呟いた真由に思わず吹き出してしまった。
「決めた!私も今から恋活する!絶対いい男捕まえてやるから!」
そう宣言した真由に私はうんうんと頷き「応援するー」と抱き締め返す。
そんなやり取りをまさか自室に戻った優斗にも聞かれ笑われてるとも知らず、私達は暫く久しぶりの会話を楽しんだ。