あなたと私と嘘と愛

(それってどういう…)

確かに言った。母とはしてないって。
理解できなくて問いただしたくても強引に口を塞がれたため言葉にできない。

でも気になる。
気になるのに、角度を変えて深くなるキスに次第に思考がうやむやになる。口内に舌が入り込み私の舌と絡み合う。それが絶妙で「ん、んっ」と私から力が抜け落ちた瞬間握っていた手のひらからトマトがポトリと落ちる。

そのあとすぐ優斗の手が背中をなぞった。
ゾクリとする感覚は次第に下の方へと降りて太ももをなぞり、ゆっくりスカートの中へと滑り込んでくる。そのままヒップをなぞり敏感なところへと指先が触れれた瞬間ビクンと全身が反応した。

「…や、まっ、ここで…っ?」

咄嗟に優斗の手を掴み、精一杯の声をあげた。ようやく唇を離してくれた優斗にあたふたと抗議しようとしたものの、

「うん。したい」

ストレートな言葉が落ちてきた。
ビックリしたのもつかの間、耳元に熱っぽい声が吹きかけられる。

「亜香里がほしい」

ドクンと鼓動が大きく跳ねる。

「しよ。このまま亜香里が食べたい」

まるで熱に犯されてるような感覚は私も同じ。ねだるように言われたら抵抗することなんて皆無だ。出来っこない。

だから悔し紛れに目の前の優斗に抱きついた。半分涙目に近かったと思う。

「優斗のスケベ、えっち…」

「知ってる。こんな俺は嫌い?」

「…なわけ…、好き…」

もう流されるように呟いた。すると優斗の嬉しそうな声が。「俺も」と呟いた声になんだか泣きそうになる。ずるいと思うのにやめられない。完全に理性が破壊した私は、いや私達はそこからまた深い口付けを交わし合う。

「せめてソファーで」、と懇願した私の言葉を最後に記憶が熱に犯される。いつ移動したかも分からない感覚で私達はソファーに深く沈み込んだ。
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