あなたと私と嘘と愛

病院に着いた私達は素早くタクシーを降り、病院の中へと急ぐ。
真由と二人で優斗に聞いた病室まで駆け寄ると何故か違和感が…。
思わず扉のドアを開けるのを躊躇った。

ふいに確認した病室の名前に母の名前が…無い?
そこは空欄でやけに静かな空気を感じた。
看護婦さんやドクターが中にいる気配もない。
不思議に思った私は真由と顔を見合わせる。

「病室ってここであってるよね?」
「優斗さんはなんて…?」

確か3階の西側の一番奥だって言われたはずだけど…。
不安に思いながらも焦っていた私は思いきって目の前の扉を開けた。
すると案の定静まり返った光景が。

(…なんで?)

そこにはやっぱり誰も居なかった。綺麗に整えられたベッドの上には誰もいない。
母の姿は何処にも見当たらず、

「もしかして…」

そんな光景を目の当たりにして思い付いた答えは一つだけ。

「…まさか…」

(……遅かった?)
すでに手遅れだったんだろうかと最悪の事態が脳裏に浮かぶ。

「……っ」
「亜香里!?」

力なくその場にヘナヘナと座り込んだ。
心配する真由を横目にただただ悲しみが押し寄せる。
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