あなたと私と嘘と愛
そもそも当てはめようとするのが無謀なのだ。
だから私は肩の力を落とし、諦めの姿勢をとった。
「とにかく、私はあんな人と仲良くする気はないから。これ以上変なお節介はやめて」
馬鹿馬鹿しいからお話にならない。
母から視線を反らしバッグを持ち直した。
そのまま玄関を飛び出そうとしたのに、ちょうどタイミングよく今度はリビングのドアが開いた。
「……悠里さん?」
そして優斗の登場だ。
また面倒な人が一人顔を出した瞬間私の顔はげっと歪む。
「お帰りなさい。戻ってたんだ」
「優斗ただいま~」
瞬殺だった。
私の隣を柑橘系の香りが横切って行く。
途端甘ったるい声を出した母が彼の元に駆け寄り勢いよく抱きついたのを振り返った瞬間見てしまった。
「会いたかったわ」なんて聞きたくもないやり取りが視界に飛び込んでくる。