あなたと私と嘘と愛

「それは誉めてるの?」

「もちろん呆れてるんです」

「なによ元気になった途端私に説教する気?ずいぶん偉くなったわね。そんなこと最初から分かってて私の契約に判を押したのは誰よ」

「半ば強引にですけどね。しかも当初の契約とはかけはなれて違うことに謝りもないし。少しぐらい俺に対しての謝罪は?悪いとは思わないんですか?」

「ないわ」

開き直った母の声を聞いて困惑する。元気な母の声に思わず優斗達から死角になる壁の方へと身を隠す。

なに?
何なの?
どういうことだろうと心臓がバクバクする。
母は危篤なんだよね?
朝優斗から電話があって、けど実際に来てみれば母は優斗と普通に話してる。先生や看護婦さんだって病室にいない。
そして謎めいた会話が続いてる。

「大事な1人娘なんでしょ?亜香里がもしこの事を知ったらショックを受けることぐらい分かるでしょ。下手したら自分を責めるかもしれない」

「そうね、だから貴方がいるんでしょ?何の為に私が貴方と籍を入れたと思ってるの?全部亜香里の為よ。亜香里を守るために貴方を雇ったんじゃない」

ドクンとまた鼓動が波打った。契約って…
これってまずいんじゃないの?私が聞いたら駄目な内容なんじゃ…
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