あなたと私と嘘と愛

「全て私が決めたことよ。亜香里にはとことん恨まれる覚悟はできてるわ。間違っても私みたいな生き方を選ばないように。亜香里には本当に好きな人と一緒に生きてほしいから」

「悠里さ…」

「それに例え嫌われてようが私の気持ちは変わらない。あの子を愛してる。死んでも一生愛し見守る覚悟だからそれでいいのよ」

母の声がとてもしっかりと耳に届く。
それを聞いた直後耐えきれなくなった私は思わず下を向いた。

(…あれ…)
こんなはずじゃ…
こんなはずじゃないの。
母の本音を聞き、動揺で目の前が次第にぼやけて見える。自分の意思に反して目頭が熱くなった私は思わずぎゅっと目をつむる。
だって、今更こんなこと聞かされても戸惑うだけ。
ずっと私に興味なんかないと思ってたからこそ、こんな不意打ちはずるい。卑怯だと思いながらドクドクと熱いものが込み上げてくる。
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