あなたと私と嘘と愛

奥深い優斗の声が病室に響く。
あまりの真面目さにドキリと視線を上に上げた私は、

「亜香里はずっと自分は貴方にとって興味のない存在だと思いながら生きてきたんです。
自分はもしかしたら邪魔な存在なんじゃないかって。
そんな亜香里に対して貴方は何も告げずに逝こうとしてる。自分だけ満足し開き直ってさよならですか」

「…だ、だから私のことはとことん恨めばいいって…」

「それができないのが亜香里ですよ」

「…えっ」

「悠里さんだって一番良く知ってるでしょう?亜香里の性格がそんなことできないぐらい」

「…っ…」

「あなたはいいですよね。このまま自分の寿命を静かにまっとうすればいいだけだ。
けど残された方はたまったもんじゃない。しかもずっと分かり合えない確執を抱えたまま一生会えなくなるんです。
きっとこの先も自分を責めるかもしれない。あの時もっとちゃんと向き合っていたらって、話しておけばと後悔するんです」

(…優斗…)
その言葉がダイレクトに耳の奥に届く。
初めて聞いた。母に対してこんな攻撃的な発言の優斗を。

けど後悔…なんて、
その言葉がとても重くのし掛かかりハッとさせられる。
私は…
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