あなたと私と嘘と愛
「人生ドラマのように綺麗にまとめられたら楽なんですけどね」
「…優斗…」
「間違っても俺はそうじゃなかった。綺麗事ばかりじゃない。不平不満や理不尽な悲しみを抱えながらがむしゃらに生きてきたんです。
俺には生まれた時から両親がいなかったから正直親子という関係性は分かりません。けどだからこそ俺はあなた達親子に興味を持った。
二人の行く末を見守りたいと思ったから。悠里さんの不器用な愛しかたと強さに惹かれたからこんな非常識な契約に判を押したのかもしれない」
そう、か。
そうだったんだ…
初めて知る優斗の本音に真剣に耳を傾ける。
「悠里さんと亜香里は俺にとって大切な存在なんです。最初は貴方に言われて渋々だったけど、気付いたら本当の家族のように思い始めてた。
だから逃げてほしくないと思ってしまう。最後まで納得がいくまで話し合ってほしいんです。最後ぐらい台本抜きで感情のままに生きたらどうですか?」
「…そんなこと…」
「俺は悠里さんの綺麗じゃない姿も十分素敵だと思いますけどね」
「……」
「たまには感情のまま醜態をさらしてもバチはあたりませんよ。むしろそんな悠里さんもきっと魅力的です」