あなたと私と嘘と愛
来てくれたって…
自分から呼んだくせにこの台詞。あまりのしらけップリに目眩がする。
策士だ策士。けどそうだよ。優斗はこういう人だった。今までの彼の行動を振り返りながら自分の成長の無さを痛感する。
「嵌めたわね…」
そして母も同じことを呟いた。地を這うような低い声に気付き、そこでようやく私は恐る恐る母の方へと視線を向けた。
「やってくれるじゃない…」
怒ってる。
そりゃ怒るよね。怒るに決まってる。
母はベッドごと上半身を少しだけ起こした状態だった。
腕には点滴が繋がっていて、他にも心拍を確認するモニターやら色んな機材が近くに置かれてる。
「どういうつもりよ、これは…」
「なんのことですか?」
「とぼけないで」
「悠里さん、そんなに怒るとまた体に障りますよ?ここは少し冷静に…」
「できるわけないでしょ?この状況は何なのよ。私にちゃんと説明なさい」
「…あー…説明?ですか…」
そんな母に対し、優斗はそんなことを言ってシラを切る。嘘っぽく宙を見上げて指を顎に添えながら考えたふりをしてる。
見るからに芝居っぽく、けどそれはあくまでも最初だけ。