あなたと私と嘘と愛
「…す、すみません…」
「私、あなたみたいな勘違い野郎が一番嫌いなの」
そして留目の一言をグサリ。
さすが大女優の迫力を見た気がした。
月島悠里が恐れられている理由がやっぱり頷ける。
「あなたの場合顔もそこそこなんだから、お父様には感謝するのね。しっかり恩は返しなさい。それができないなら他の職につくことね」
もはや切り干し大根…いや、もやし並みに縮こまった貴也くんに哀れみの目を向ける。
「…し、失礼します…」
ふらふらと正気をなくしたように背を向ける彼に苦笑い。続いて悠里さんは雫ちゃんの方へ目を向ける。
「ねぇ、あなたも演技のことで分からないことがあるなら私が聞くわよ?このあと演技指導でもしましょうか?」
「…へ?」
急に矛先を自分へと向けられた雫ちゃんが驚いたように目を丸くする。
「どうなの?このあと時間あるんでしょ?」
「え、あ、その…」
「なんなの、ハッキリなさいよ」
「ご、ごめんなさいっ、流石に悠里さんの貴重な時間をさいて貰うのは申し訳ないっていうかっ。演技の方はもう少し自分で考えて頑張ってみます!」
「あら…」
「し、失礼します!」
そして雫ちゃんも慌ただしく去っていく。そんな姿を目の前にして、思うことはただ一つ。