銀光のbreath 【番外編 追加完了】
そんなことない。
あたしはただ弱弱しく、首を横に振ってみせた。

鈴奈さんだって、お父さん達だって。あたしを心配して気遣って、少しでも支えようとしてくれてる。征一郎さんのおかげで、なに不自由なく暮らしてる。

ほんとに感謝しかないよ。ちはると二人、遺されてどん底で。寂しくて寂しくてどうしようもなくても、独りじゃなかった。掬われた。どんだけ泣いても、次の日には笑えたのは、そうさせてくれるヤマトがいたから。鈴奈さんも廉も、洋秋もいたからなんだよ。

謝らないでよ。
代わりに洋秋が死ねばよかったなんて、思うわけないよ。
ごめん洋秋。あたしが弱いせいで、泣いてばっかりなせいで、そんな悲しいこと言わせた・・・っ。
あの時、一緒にいれば由弦は死なずに済んだって、洋秋が一番悔しかったはずなのに。

たった一人の弟を殺されて、苦しいのは征一郎さんだって同じだったのに。
あたしが一番辛くて、世界一不幸で、この絶望はきっと誰にも分からないって。
そうやってずっと・・・自分で自分を閉じ込めてたのかもしれない。

憎しみとか恨みとか、なんで由弦なのって、理不尽さだとか。なにをどうしたって消化できないものばっかりで。けど、優しい“家族”たちにそんなモノ、見せられるわけなかった。

(いびつ)に巣食い続けた哀しみが、あたしのココロに膜を張ってた。・・・のかもしれない。

・・・・・・すとん、って。何かが胸の中で落っこちてきて。
それを薄く破った。・・・気がした。
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