銀光のbreath 【番外編 追加完了】
「お前についた傷を、俺は消してやれない。痛みをマシにしてやれてるのかすら分からねぇよ」

胸元に閉じ込められたままで、洋秋の低めのトーンが頭の天辺から染み渡ってくる。

「それでもせめて、お前の涙くらいは俺の胸で流させてやりてぇと思ってる。由弦の代わりに抱き締めてやりてぇんだよ、・・・瑠衣」

そう言った刹那。
ぎゅっと、あたしの背中に回った腕に力がこもって。

ああ。
あたしはこんなにも愛されてるんだ。・・・って。ようやく思い出せた気がした。



みんなに優しくされるたび。どっか、放っといてほしいやり切れなさに苛まれてた。
大切に思ってもらって感謝しかないのにどっか、ささくれてた。

由弦が残してくれたちはるを、あたしが守らなきゃって。
由弦がいなくなって、あたしは独りで頑張らなきゃダメなんだって。
甘えてばっかじゃダメなんだ、って。

そんな風に自分を奮い立たせて、無我夢中で。
いつの間にか自分しか見えてなかった。
見ようとしなくなってた。

目に映るセカイは。
自分以外がみんな。シアワセそうだったから。

羨んでた。
妬んでた。
鈴奈さんには洋秋がいるじゃない、って。
廉にはパパがいるじゃない、って。



ヤマトの優しささえ、素直に受け止めてなかった。・・・きっと。
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