銀光のbreath 【番外編 追加完了】
「・・・あれ、あたし・・・?」

由弦のところにいたハズなのに。

遮光カーテンを半分まで引いて、日差しを少し遮った寝室。
コートを脱がされた格好のままで、羽根布団だけ上からかかってた。

ベッドの縁に腰掛けたヤマトが手を離さずに、半身を傾けるようにしてあたしを見下ろしてる。

「・・・気を張ってたのが緩んだんだろ。様子見て、病院に連れてくつもりだった」

「そっか・・・。ごめん、迷惑かけて・・・」

大きく息を吐き、とにかく謝る。

「みんなに余計な心配かけちゃったねぇ・・・。ちはると征一郎さんは?」

「ヒロさんに言って、全員で遠慮なく昼飯に行ってもらってる。・・・その方が気兼ねしないだろ」

「・・・うん。そうしてくれて良かった」

孫に会えて嬉しいお母さん達や、子供達の楽しみまで台無しにしちゃったら、それこそ合わせる顔がなくなる。

「あとで、みんなに謝んなきゃ・・・」

「・・・気にしすぎんなよ」

弱い笑みで頷いてから。
ふと。
ヤマトと目が合って。あたしはじっと見つめ返した。

黒のスーツも堂に入って、由弦とはまた別モノの男前に成長したヤマト。
端正っていうよりキレイ目な顔立ち。今でも十分、ホストで食べていけそうな。

若頭になってから、あちこちのお姉さん達から声がかかるって洋秋が言ってたっけ。
そういうトコまで由弦に似ちゃって。

・・・けどね。
ヤマトは洋秋を『ヒロさん』て呼ばないんだよ。
そう呼ぶのはね。

たった一人しかいないの。


「・・・ありがと・・・っ、由弦・・・ッッ・・・!」
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