月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
ネシャートさんを助ける為の宝石がない。

それじゃあ、ここに来た意味がないじゃない!


「いくつか質問したのだが、黙ったままで何も答えてはくれなかった。」

「手強い相手になりそうですね。」

「ああ。また明日、湖に行ってくる。」

そう言うとジャラールさんは、私の前に来た。


「クレハ。衣服をくれ。」

「は、はい。」

ジャラールさんが着ていくのを見ながら、一つ一つ渡す。

「今日はここで野宿だな。」

「はい。」

ハーキムさんが、ラクダから荷物を降ろして、野宿の用意を始める。


沈んだ雰囲気。

重い空気を感じる。

つけられたばかりの火は、パチパチ言い始めた。


いつもは二人でいろんな話をしているのに、今は二人とも一言も話さない。

きっとジャラールさんは、宝石の事をずっと考えているんだろうな。


ところで今さらに疑問。

ジャラールさんやハーキムさんが探している宝石って、どんなモノ?
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