月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「あの子とは何にもないよ。星見て終わっただけ。」

光清の真剣な顔。

好きじゃなくても、キュン死するだろう、これ。

「うん。」

とりあえず返事をして、これ以上キュン死しないようにクラスのみんなと一緒に移動。


敷地の中を歩いて、ついに金閣寺の前に到着。

あの誰しもが写真で見ている、あの光景だ。

「綺麗……」

黄金で飾られたお寺は、見る者を圧倒する。

「見るのは初めて?」

「うん、初めて。」

そう言って、じっと光清と二人、黄金のお寺を見ていると、一瞬それが黄金の宮殿に切り替わる。


「おっと!」

光清の一声に、宮殿はお寺に戻った。

「えっ?」

自分が信じられなくて、目を擦る。

「危なかったね。」

隣にいる光清は、ニコニコ。

どうやら私は、また眠りそうになったらしい。


「そうだ。お寺の裏側に行けるんだ。見に行こうよ。」

そう言うと、光清は私の腕を引いて、池の端にやってきた。
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