月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
すると光清の肩越しに、見た事がある顔が、私をじっと見つめている。

あれは確か、昨日の夜。

光清と浴衣デートをした子じゃないか?


「あのさ、光清。」

「ん?」

「昨日の夜、女の子と一緒にいなかった?」

「うん。」

あっさり認めた。

と言うか、女の子とデートに行く瞬間に、チラッとこっちを見ていたのは知っているけどね。


「どこに行ったの?」

「最上階のロビー。」

「何しに?」

「星、見てた。」

好きな人と見る星空。

さぞかしロマンチックだったろうな。


あの女の子にとっては。


「で?どうだったの?」

その時、光清がニヤリとする。

「気になる?」

これ、光清の作戦?


「う〜ん。気にはならないけど、さっきから視線が痛いんだよね。」

「えっ?」

光清が振り返ると、女の子もどこかに行ってしまった。

「ごめん。気がつかなかった。」

「いや、別に光清のせいじゃないし。」
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