月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
私はゆっくりと、その場に座り込んだ。


ひどいよ。

私、こんなに辛い恋なんてした事ない。


「クレハ……」

ジュースを持って来てくれたジャラールさんは、ソファーに座らずに、私の横に腰を降ろした。

黙ってグラスに、ジュースを注いでくれる。

「ジャラールさん。」

「ん?」

「私、ジャラールさんの事が好き。」

「そうか。」

「でも、ネシャートさんを愛しているジャラールさんは嫌い。」


自然に涙が流れた。

これじゃあハーキムさんに、またジャラールさんを思って泣いているって、言われちゃう。


「そうか。俺がネシャートを愛している事を、クレハは知っているのか。」

はっきりと言葉に出されると、もっと切なくなる。

「だけどネシャートは、妹だ。それ以上は愛せない。それでもクレハの気持ちは、変わらぬか?」


ジャラールさんはずるい。

はっきり言ってくれれば、気持ちが楽になるのに。
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